[pp.91-96]
岩見千津子,谷川 寛樹 (和歌山大学)
要旨:
維持管理が行われなくなった人工林は,木材生産能力の低下だけでなく,二酸化炭素固定機能や水質涵養機能といった,森林が本来持っているさまざまな機能が失われることになる。そこで本研究では人工林をエネルギー資源として活用するために,人工林の手入れ法・回収範囲・利用法についてシナリオを設定し,検討を行った。なお本研究では,GISの利用による林道や傾斜角データと衛星画像による森林の現況データなどの詳細なデータを取り扱うことで,空間的な解析を可能にした。その結果,ケーススタディ地域のエネルギー必要量に対して,間伐材を木質バイオマス発電に利用したシナリオでは,4~32%,同じく間伐材をペレットストーブで暖房用に利用したシナリオでは19~151%のエネルギー供給が可能であることがわかった。
キーワード:
針葉樹林,バイオマス発電,ペレットストーブ,GIS(地理情報システム),人工林活性化,木材資源活性化