[pp.85-90]
松本由紀子,三浦 浩之,尾崎 平,和田 安彦 (関西大学,広島修道大学)
要旨:
廃棄物中間処理施設の設置は,周辺住民との合意が容易には得られないこと等からきわめて困難な状況となっている.本研究では,処理施設の建設と住民合意形成を円滑に進めるために,処理施設から周辺地域に対するサービスを行い,住民の合意が得られるような廃棄物中間処理施設建設のための条件を検討した.これより,処理施設建設のための見返りサービスとして,処理施設からの排熱を利用したエネルギー供給が最も効果的であり,供給量としては1ヶ月の電気代,暖房・給湯代の約50%に相当する量を望む声が最も多かった.対象地域において無料でエネルギー供給を行った場合,全世帯で42.5%の電気代,暖房・給湯代に相当し,エネルギー供給を用いた処理施設建設の住民合意形成の可能性が示された.
キーワード:
廃棄物中間処理施設,住民合意形成,エネルギー供給,補償