[pp.79-84]
陳 杰,小林 久 (東京農工大学,茨城大学)
要旨:
農産物供給のエネルギー効率の改善には輸送段階を含めた検討が必要であるという認識から,都道府県単位の穀物物流を対象に「実態」のエネルギー消費量を算定し,さらに物流量を最小化したとき(効率的配分時)のエネルギー消費を試算した.「効率的配分」の物流量試算による域間輸送トンキロ(1,556百万t-km/年)は,実態(3,679百万t-km/年)の42%であった.域間輸送における「実態」と「効率的配分」のエネルギー消費量は,それぞれ6.34PJ/年,3.10PJ/年と見積もられ,都道府県間の輸送を中心に過分な穀物物流が存在していると考えられた,この過分な穀物物流にともなうエネルギー消費は約3.24PJ/年と試算され,これは実態のエネルギー消費量の51%に及んだ.このような結果より,輸送の効率化がわが国の穀物供給における環境対策上の重要課題の一つであると考えられた.
キーワード:
穀物,ライフサイクル,最小化モデル,最適配分,環境効率