[pp.25-30]
立入 郁 (長崎大学)
要旨:
北アフリカの干ばつ早期警戒システム(DEWS)の例として,マリとケニアのシステムを取り上げ,システム概要,基礎データの種類と収集方法,総合評価の方法と利用法,実際の干ばつ時の記述の四点から比較研究を行った。マリのDEWSは住民の防御行動にも注目し,食糧援助の量・時期について勧告し,実現させる力を持つ。一方ケニアのDEWSは,データ収集の方法が確立されデータ種類も多いが,国策上の重要性の点で国家の食糧安全保障政策に組み込まれているマリのシステムに及ばないと評価された。今後DEWSの性能向上には,自然科学的・人文社会科学的視点の融合が必要であり,そのような視点を持つ人材を育成することが重要である。
キーワード:
干ばつ早期警戒システム,サヘル,東アフリカ,マリ,ケニア