[pp.309-314]
小林 久 (茨城大学)
要旨:
上ビルマかんがい地域の土地条件と農業の実態を把握するために,チャウセ県ミッター郡の3村落区の地形,土地利用を分析し,農地の利用や水路・ため池等の配置が詳細な土地条件への配慮に基づいていることを示した。さらに,作付け記録と筆図(Kwin MaP,クウィンマップ)を用いたGISによる分析を行い,年間降雨量が作付け・収穫の面積と分布に影響していること,強制作付けが行われていた1979年とこれが緩和された後の1998年の作付けが著しく異なることなどを明らかにした。これらの結果は,当地域の土地利用が自然環境に対して調和的であること,同時に人為により農業が土地条件に対して非調和的になり得ることを示しているものと考えられた。
キーワード:
作付け記録,GIS,クウィンマップ,土地資源,ミャンマー,半乾燥地