[pp.303-308]
齋藤 隆,蔵治光一郎,塚越 剛史,岡崎 正規 (東京晨工大学,東京大学)
要旨:
干葉県溝澄山における酸性沈着と土壌の理化学的性質を明らかにするため,林外沈着,林内沈着,土壌溶液を継続して採取・分析するとともに,土壌試料の特徴を調べた。土壌は袋山沢が火山灰由来の黄褐色森林土で,堂沢が黄褐色森林土であった。林外沈着の加重平均pHは,袋山沢では4.96,堂沢では4.98であった。一方,土壌溶液の加重平均pHは,袋山沢では6.55-6.66,堂沢では6.71-6.96の範囲にあった。土壌溶液中の高い(Ca+Mg+K)/AIモル比,長石や有色鉱物の溶解に伴うプロトン消費あるいは土壌の塩基飽和度から,清澄山の土壌において酸性化の傾向は明瞭でないと判断される。
キーワード:
酸性沈着,林外沈着,土壌溶液,塩基飽和度