[pp.279-284]
天野 佳正,村上 和仁,石井 俊夫,瀧 和夫,立本 英機,本田 善則 (千葉工業大学,足利工業大学)
要旨:
本研究では,湖沼に生息する生物の増殖・活動により変換されるエネルギーである生体有機物エネルギーの流れおよび循環に着目し,総括的水質評価手法としての有効性について検討した。その結果,閉鎖性湖沼では太陽からのエネルギーは生物の死骸として底泥層に堆積させ,その一部の栄養塩類を湖水中に溶出させるという水質汚濁機構における「物質循環・エネルギー蓄積」の考えを示した。また,富栄養化湖沼における生体有機物エネルギー量は10 11~10 12kCa1程度であること,このエネルギー削減による水質改善は植物性プランクトンの優占種の遷移として確認された。
キーワード:
富栄養化湖沼,湖沼生態系,生体有機物エネルギー,水質浄化,有機物