[pp.261-266]
滝川 永一,小林 久 (茨城大学)
要旨:
モンスーン期に降雨・濃霧が発生する独特な気象特性のオマーン国ドファール地方の山岳部において1999年と2000年6月~9月に気象観測を実施し,霧捕獲に対する林の機能・粂件を検討した。7月~8月の林内雨量,樹幹流量はそれぞれ32~6[mmday-1],1本当り717~2429[m/day-1]で,林内雨量は同一期間に観測された降雨量の1.4~8.1倍となった。林による霧の捕獲は午前中に集中し,しかも相対湿度97%以上,風速2.5m/s以上を条件としていることが推定された。これらの観測結果から,霧が当地域の重要な水資源であり,その捕獲に林が効率的に機能していると考えられた。
キーワード:
モンスーン,水資源,森林保全,牧畜,乾燥地,アラビア半島