[pp.91-94]
加藤 宏美,藤崎健一郎,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
本研究は,自然や風景に対する日本人の思いが時代や季節によってどのように変化してきたかを知ることを目的とし,大岡信監修の「日本うたことば表現辞典叙景編」に収録されている8020句を対象として,叙景に用いられたうたことばの時代的な変遷や季節との関係について調べた。その結果,うたの数は1600年以降に急速に増えること,雨,風,月などのことばが多く詠い込まれていること,また月を詠んだうたは17~18世紀に特に多いなどのように年代による変化があること,1600年代にはほとんどのうたに季語が折り込まれていること,季節については秋がやや多いが春夏秋冬ほぼ均等に分散していることなどの特色をいくつか見出すことができた。
キーワード:
詩歌,うたことば,雨,風,月,夕暮れ