[pp.85-90]
青木 陽二 ((独)国立環境研究所)
要旨:
多くの季語を収録した歳時記を用い,俳句に現れた植物の記述を調べ,日本の季節感における植物の役割についてまとめた。その結果,214の季語が植物季節の表示として用いられていることが見出された。花は1年中,俳句に読まれて楽しまれていた。新緑は冬から夏にかけて,緑葉は春から夏にかけて,繁茂は夏に,紅葉は秋から冬に,木のシルエットは冬に読まれていた。植物は夏に最も多く俳句に読まれている。植物は春と秋に図として読まれている。花弁や芽,新葉のような小さなものは至近景で読まれている。植物は大きいものは森から,小さいものは花粉まで,また冷温帯のものから亜熱帯のものまで多様な方法で読まれている。
キーワード:
季語,季節変化,景観植物,俳句