[pp.37-42]
熊谷樹一郎,齋藤 元也 (摂南大学工学部,農業環境技術研究所)
要旨:
衛星データから得られた土地被覆分類図において,市街地がその他の土地被覆と混在している領域については「土地利用の混在」の発生している可能性がある。一方,衛星データは観測時の状況のみが捉えられたものであることから,どのような開発のプロセスの中で「土地利用の混在」状態となっているのかについて明らかにすることが土地利用の変遷を比較する上で重要である。そこで,本研究では7年ごとに観測された3時期の衛星データを適用し,経年的な土地被覆の変遭について,その広がりの大きさと分布の複雑さといった二つの面から比較・分析する方法を提案した。比較分析方法では,現状分析型と過程分析型といった二方向からの分析が可能となっている。比較分析方法を適用した結果,土地利用の混在が放置されている可能性のある地域と開発の進行している地域とが分離できるとともに過去に土地利用の混在していた可能性のある既成市街地などが広い範囲から自動的に抽出できることが明らかとなった。
キーワード:
衛星リモートセンシングデータ,土地被覆変化,空間分析