[pp.239-244]
山本佳世子 (滋賀県琵琶湖研究所)
要旨:
わが国では戦後全国で地域開発が活発に行われ,土地利用が大きく変化した。そして,このことは地域環境に著しい影響を与えているため,今後は環境の面からみて適正な土地利用が行われる必要がある。そこで,本研究では,滋賀県の琵琶湖岸を対象とし,地理情報システム(GIS)を利用して土地利用変化を十分に把握したうえで,今後,環境に配慮した土地利用を行うための情報提供を行うことを目的とする。本研究では,GISを利用して解析を行うことにより,土地利用変化を複数の空間スケールで詳細に把握することができたため,解析結果をもとに,環境に配慮した土地利用を行うための政策判断へ,計画等の地域分類と同様な空間スケールでも情報提供が可能になった。また,本研究での解折結果より明らかになった点は,以下の2点に総括することができる。(1)滋賀県全域では,主に南部での市街地の拡大やゴルフ場の著しい増加に伴い,自然的土地利用が減少した。(2)地域開発が最も進んだ湖岸域では,特に南部で湿性草地・水面や農業などの自然的土地利用からの転換により,人工的土地利用が著しく増加していた。
キーワード:
土地利用変化,地理情報システム(GIS),情報提供,琵琶湖