[pp.269-274]
成田 健一,清田 誠良 (日本工業大学,広島工業大学)
要旨:
夏季における緑の環境調節効果を解明するため,広島市の中央公園を対象に緑地内外の微気象観測を実施した。公園の北東部分に位置する緑地を中心に,日中の海風方向にあたる南西~北東方向に裸地から緑地を貫く約125mの測線を設定した。裸地では正味放射量の63%が地中蓄熱37%が顕熟流束に配分され,裸地の気温は日中林内より1°C高く,早朝は逆に0.5°C低かった。裸地に接する林縁では約20mの範囲で気温に風上側の裸地の影響が認められた。一方,日中風下となる市街地に接する林縁部分では最大2°C程度の昇温が認められた。この林縁部において渦相関法で水平方向の顕熱流束を求めた結果,平均流に逆らって市街地から100W/m2を超えるフラックスが算定された。市街地に接する緑地の縁辺部は,風向にかかわらず終日市街地の影響を受けていると思われ,その範囲は境界からおよそ50mと推測された。
キーワード:
都市気候,緑地,渦相関法,移流