[pp.251-256]
杉村 乾 (森林総合研究所)
要旨:
アマミノクロウサギ(Pentalagus furnessi)が分布域内のどの区域に多く生息するかを示す指標を見出すために,林道,沢,林床の糞塊を調査した結果,ほとんどの糞は林床にあると推定されたが,沢沿いの総糞粒数/kmが最も実用的であると判断された。さらに,生息密度(生息頭数/ha)と地域個体群の大きさを新糞数,新糞の特徴が維持される日数,1日当たり脱糞数,林床と沢間及び林道と沢間の糞粒数の相関関係から推定した。そして,総生息数は2,700から6,500と推定されたが,地域差が大きく,孤立した個体群の密度は概して低かった。また,10年間にわたる調査結果を奄美大島中央部のいくつかの地域ごとに比較したところ,明らかな減少傾向が示唆された。
キーワード:
希少種,センサス法,生息頻度,生息数変動