[pp.233-238]
大澤 啓志,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
都市域のカエル類保全における人の利用の関わりをみるため,横浜市南部の瀬上谷戸において春季のオタマジャクシ捕獲の状況を調査した。その結果,「春のオタマジャクシ採り」に見られる水田の生き物を楽しむ生活・文化活動が,都市域の谷戸においては根強く残っていることが示された。春季のオクマジャクシの存在は,都市住民を谷戸に引き付ける重要な要素となっている。また,人の利用の関わりとして「捕獲・飼育・放逐を通じた孤立緑地への種の供給」の存在が認められた。都市緑地の水辺には,一定の捕獲利用に伴う種の分散が生じていると考えられる。
キーワード:
オタマジャクシ,捕獲レクリエーション,谷戸