[pp.203-208]
根岸 由紀,糸長 浩司,大塚 生美,趙 賢一 (日本大学,愛植物設計(株))
要旨:
山形県飯豊町において,宅地の水環境を捉え,日常生活の水利用の実態と変化を調査し,地域的に比較分析を行った。現在,家庭的水利用は上水道に依存しているが,上水道整備以前の水源は,地域ごとに異なり多様であった。また,宅地内の水環境構造を見ると,特に平地では「タテボリ」的一周型水路が多かったり,「タナゲ」的機能を持つ池の存在があるが,それらに対する住民の意識は低い。「見えなくなった水源」によって,住民の水に対する機能評価や「水の流れ」に対する関心は低くなっている。今後は,宅地における伝統的な水環境と多様な水利用を活かしていくことが重要であり,これは水資源の持続的利用に繋がっていく。
キーワード:
農村宅地,水利用,水環境,水利用意識