[pp.83-88]
中尾理恵子,武内 和彦 (束京大学)
要旨:
ドイツの農村整備においては,多機能空間としての整備が進むなかで生態系の保全・創造がとくに重要な位置を占めてきた。その背景には,農地,集落,生態系にかかわる計画制度の密接な連携と,農業生産の抑制に伴って農村整備の主目的が環境保全へと移行したことがあげられる。農村での生態系の保全・創造は,ビオトープとその結合システムの確保を通じて行われることが多い。ある農村では,ビオトープ結合図を農村集落計画の基礎に置き,集落内部での生態系の保全・創造を図っている。そこでは緑地整備計画が大きな役割を果たしていた。日本の農村整備においても生態系の保全・創造は大きな課題であるが,明確な計画方法論がないことが問題である。
キーワード:
農村整備,農村環境,生態系,ビオトープ,ドイツ