[pp.59-64]
青木 陽二 (国立環境研究所)
要旨:
明治になってから日本国内の旅行が自由になった欧米人は日本の風景を広く観察することになった。彼等が記した日記や旅行記の中の風景に関する記述を調べることにより,彼等が日本の自然風景の中で感動したものを探った。日本奥地の風景についても記述が見られ,多様な花々,力強く茂った植物,見慣れた植物,アルプスの風景,巨木林,田園散策路,豪雪の風景,街道並木の破壊と電柱電線による風景の悪化などを記した。彼等は,日本と欧米の風景の比較を試みた。また日本人の風景理解力,日本人の自然風景好き,世界一の造園技術,世界の公園としての日本などを記した。また田園の風景美は,日本人の自然嗜好と農民の努力によって保たれているとも記した。
キーワード:
風景体験,自然風景,欧米人,明治