[pp.237-242]
大澤 啓志,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
都市域では身近な自然を地域の魅力として捉えない限り,その保全は難しい。シンボルとなる生物をとおして地域の田園・里山イメージを共有し,地域活動で積極的に保全・活用する戦略が必要となる。横浜市域の原風景:谷戸田は水田・雑木林がユニットとして含まれ,孤立化した都市自然でのふるさと生物の生息拠点となっている。谷戸田を特徴づける生物としてカエル類に着目し,横浜の代表的な谷戸田において環境特性と生息状況を比較検討した。孤立化した谷戸田でも伝統的な農業スタイルによる水田耕作により,カエル類の保全が可能であることが示唆された。都市農業が脆弱化するなか,多様な水田耕作主体を形成し谷戸田環境を維持していくことが必要である。
キーワード:
谷戸田,カエル,都市自然