[pp.159-164]
大竹千代子,神沼 二眞 (国立医薬品食品衛生研究所)
要旨:
最近,世界的に関心が高まっている内分泌撹乱物質について,今まで総括的な情報の分析がなかったので,インターネットを含む文献調査によって,どのようなカテゴリーの物質が含まれているか,生体内メカニズムはどのようなものか,野生生物および人への暴露の経路と暴露の程度はどのようなものかを分析した。その結果,物質数では農薬が過半数を超えており,次がプラスチック関連物質であった。プラスチック関連物質については,内分泌攪乱影響を及ぼす濃度の10-2~10-3であったが,試験管内試験と野生生物への影響の関連研究が必要であること,農薬とPOPs(難分解性有機化合物)については,相乗効果が考えられるため,同一生物中の複数物質のモニタリングが重要であること,を考察した。
キーワード:
内分泌撹乱物質,環境モニタリング,暴露経路,生体内メカニズム