[pp.147-152]
岩井 洋,山村 悦夫 (酪農学園大学,北海道大学)
要旨:
伝統的な日本的自然観における自然とは,ヨーロッパのそれではなく非自然的自然である。それは私的に楽しまれる情緒化された自然である。日本人は,現実から隔離された閉所空間(箱庭)において自然を愛する。また,日本の自然は豊かで,大規模な破壊の経験はなく,日本人は自然の存在とその永続性について無意識に絶対的な信仰を持っている。自然に関する明確な現実的意識と歴史的経験とで形成される環境保全意識は日本では未成熟なのである。
キーワード:
自然の無意識化,再生信仰,現世肯定,情緒化,非現実的現実性,環境保全意識の未成熟さ