[pp.129-134]
海津ゆりえ,下村 彰男 (東京大学)
要旨:
小学生から高校生までの児童が,自分が好きな自然観察路において出会った動植物を記述した作文の分析を行った結果,色や鳴き声,しぐさなどの動植物が持つ特徴や,たくさんいる,頻繁に見るなどの出会いやすさが,動植物認識の大きな要因となっていた。また同じ観察路について絵地図したものとを比較すると,記述では動植物の出現回数が年齢と共に著しく増えており,文章表現が年齢と共に発達する能力であることが示唆された。描画では視覚的に特徴があるものが多く描かれていたが,記述では聴覚的に特徴があるものや種名があいまいな動植物等が書かれており,体験を網羅的に記す記述と,体験を要約し対象を絞って描く描画との手法の差異が明らかになった。
キーワード:
自然観察,子ども,動植物,認識,作文,年齢