[pp.87-92]
矢沢 正士 (北海道大学)
要旨:
農業を基幹産業とする自治体が多く,かつ家畜の飼養頭羽数も多い北海道の農業及び食生活に関連して発生する有機性廃棄物の総量は,1990年で約500万t(乾物)であり,その47.8%が家畜糞尿,46.3%が作物残渣搬出部,5.9%が食生活廃棄(し尿,生ごみ)である。市町村別の発生量は各市町村の耕地面積にほぼ比例しているのに対し,廃棄物内容では,作物残渣搬出部中心が78市町村,家畜糞尿中心が74市町村,複合型が41市町村などに類別される。廃棄物中の炭素は作物残渣搬出部と家畜糞尿の間に大差はないが,窒素については家畜糞尿が作物残渣搬出部の約3倍に達している。農耕地の窒素循環量の指標として作物が年間に吸収する全窒素量を考えると,8市町村で家畜糞尿窒素が作物吸収窒素を超えており,主要な家畜が豚もしくは鶏のケースが多い。
キーワード:
有磯性廃棄物,炭素,窒素,作物残渣搬出部,家畜糞尿,食生活廃棄