[pp.43-48]
松崎 浩憲,河原 能久,玉井 信行 (東京大学)
要旨:
近年環境に関する議論がいたるところでなされているが,河川環境もその例外ではない。 1990年の建設省通達「多自然型川づくり」以来,実際の河川工事にも影響を及ぼしている。本論文では,著者らが提唱している河川空間の景観設計に関する基本理念にもとづいて,景観設計のためのアルゴリズムを検討した。このアルゴリズムでは,審美的な意匠デザインを3次元的に評価する景観サブモデルを中心に,防災サブモデルと生息サブモデルとのフィードバックを通して,治水・利水計画,河川環境計画を満足する景観設計が行える。また,このような景観設計のプロセスを経ることと,ビジュアルな共通プラットフォームを提供することによって,利害対立者間の合意形成に資することができる。
キーワード:
河川環境,景観,河川生態系,防災,景観シミュレーション