[pp.13-18]
藤田 陽子 (筑波大学)
要旨:
アメリカでは,1990年の大気浄化法改正に伴い全国規模の本格的な排出権取引プログラムが導入された。実際の排出権取引は1993年から年1回行われる連邦環境保護庁のオークションを中心に行われる。本研究では,このオークションでの入札価格の決定要因について様々なデータを観察することによって検討した。この結果,価格を決定している最大の要因は,規制物質である二酸化硫黄の排出量であることがわかった。価格を通じての排出権に対する入札者の評価は,排出量水準が増加するにしたがって高くなる。この結果は,政策第一期の開始後3年目を迎えた現在,環境団体等に比較して,排出源である発電ユニットが相対的に多くの入札数シェアを占めていることによると考えられる。
キーワード:
排出権取引,酸性雨プログラム,オークション,入札価格,SO2排出量