[pp.7-12]
地嶋 崇志,岡崎 正規 (東京農工大学)
要旨:
多摩丘陵のアカマツ(Pinus densiflora) 林における酸性沈着の影響を調べるために,林外雨,林内雨,樹幹流,土壌溶液のモニタリング研究を行なった。林外雨の加重平均pHは4.79で「酸性雨」が観察された。全イオン負荷量は林外雨で3.2kmolc(±)ha-1yr-1,林内雨で10.7kmolc(±) ha-1yr-1,樹幹流では0.2kmolc(±) ha-1yr-1であった。アカマツ林内へのH+の年間負荷量は林外雨の50%であり,アカマツ樹冠においてH+の中和が認められたが,土壌溶液の加重平均pHはアカマツ林内で低い値を示した。これはNH4+の硝化に伴い生成されたH+の影響と考えられ,酸性沈着物質による影響が認められた。
キーワード:
酸性沈着,アカマツ,林外雨,林内雨,樹幹流