[pp.347-352]
荻巣 和紀 (京都大学)
要旨:
気候変動情報開示に係る国際的なニーズに対する日本企業の開示情報の課題を特定し,制度的対応の方向性を明らかにした。主な課題項目として,気候変動方針・戦略の開示,気候変動に伴う財務インパクトや物的リスクの開示,サプライチェーンや子会社・関連会社の温室効果ガスパフォーマンスの開示,および開示情報の正確性・網羅性が特定された。その後,課題の要因を考慮した上で,制度的対応の方向性を考察した。対応の方向性として,重要性の高い情報の開示と開示情報の信頼性確保に関する法制度化,業種特性に応じた開示基準の策定,及び開示情報とその背景にある気候変動対策を促進する社会システムの改善が特定された。
キーワード:
気候変動,情報開示,日本企業,温室効果ガス