[pp.47-53]
松橋 隆治,吉田 好邦 (東京大学)
テーマ: 投稿
カテゴリ: 研究論文
要旨:
セクター別アプローチは,2013年以降における気候変動対応策の枠組候補の一つであり,産業などの部門ごとに温室効果ガス排出原単位などの目標値を設定して改善を進める制度として注目されている。本論文では,まず,専門家の主観的予測の整合性を高める手法であるクロスインパクト法を用い,12名のエクスパートジャッジメントに基づいて採用される枠組の予測を行った。これにより,実現確率の高いいくつかの枠組候補を抽出した。次に,専門家の主観的評価の整合性を高める階層化意思決定法を用い,3名のエクスパートジャッジメントに基づいて抽出された枠組候補の評価を行った。本論文の分析より,地球環境保全効果,経済影響,制度設計上の問題,衡平性,外交上のイニシアティブなどの要因を総合的に評価した結果として,セクター別アプローチの有効性が明らかとなった。
キーワード:
京都議定書,2013年以降の枠組,セクター別アプローチ,国別総量目標,クロスインパクト法,階層化意思決定法