[pp.51-56]
小林 昭裕 (専修大学)
要旨:
大雪山国立公園を事例に,登山道が複雑に分散した地点を選び,分散化した要因について,登山者のルート選択行動の観察などを通じて,登山者の心理的側面および対象地点の視覚的側面から検討した。調査の結果,ルートの選択にあたって,早く目的地につきたいという心理,歩きやすい箇所を通りたいという心理が働くと推察された。登山道が分散する要因として,視認される近道なコース,斜度や雪解け水・植生などによる歩きやすさ,先行パーティの存在などが考えられた。また,本来の登山道と比較し,登山道外への踏みわけによって新たに形成されたルートは,最短コースに沿って分布することが判明し,新たな裸地化やルートの分散が現在も進行中と判断された。
キーワード:
登山者,登山道,分散化,視認性,路面状態,大雪山国立公園