[pp.7-12]
坂部 創一 (創価大学)
要旨:
人間環境システムは学際的な領域であり,その全体像の本質を把握するためには種々の分野の環境論を止揚できる新たなパラダイムが必要である。そこで,本研究では,今後の人間環境システムのパラダイムの有力な候補のひとつとして仏教を哲学的に体系化した天台(538~597)の一念三千論を取り上げ,主体・環境モデルという視点からその概要と現代的意義・応用について考察した。その結果,この理論は主休と環境の本質をあらゆる角度から照射してそれを全一的に統合化しているので,今後の新しい統一的なパラダイムとして既存の種々の環境論を包含できる卓越した存在になると思われる。
キーワード:
人間環境システム,パラダイム,一念三千論,天台,主体・環境モデル