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島田 正文,近江 慶光,丸田 頼一,山ロ 信之 (日本大学,千葉大学)
要旨:
知床半島における知床国立公園内100平方メートル運動を事例として取り上げ,発足の経緯,活動の特徴,問題点等を把握するとともに,今後のナショナル・トラスト運動のあり方について考察を加えた。本運動は斜里町,すなわち地方自治体が主体となって運営している点から市民の信頼度が高く,法令による規制など活動する上で有利であり,また,税制上優遇措置を受けやすく,比較的順調に参加人数・募金額を伸ばしてきたといえる。しかしながら,市民の意見が反映しにくく,また他の政策との関係が優先されるといった自治体の運営ゆえの問題もあり,今後はナショナル・トラスト団体,地域住民,行政の信頼関係に基づく協力体制の確立が必要である。
キーワード:
ナショナル・トラスト,知床