[pp.285-288]
森貞 和仁 ((独)森林総合研究所)
要旨:
西暦888年に発生した八ヶ岳大月川岩屑流堆積地に発達した土壌と岩屑流に隣接した山麓土壌の炭素貯留量を比較した。その結果,単位面積当たり深さ1mまでに岩屑流土壌は106~170t/ha,隣接山麓土壌は200t/ha以上の炭素を貯留していた。岩屑流土壌の炭素貯留量は表層では隣接山麓土壌とあまり違わないが,下層への貯留が少なかった。また,岩屑流土壌に含まれている腐植酸は隣接山麓土壌と異なり未熟なタイプのものが多かった。したがって,堆積後1110年経過した現時点における岩屑流土壌の炭素貯留は平衡状態に達していないと判断された。
キーワード:
大月川岩屑流,炭素貯留,腐植酸,時間経過