[pp.237-242]
日笠 睦,中越 信和 (広島大学)
要旨:
ダム事業の環境影響評価において水流の変化による影響を予測するためには,ダム運用開始前の河川景観の空間分布を正確に把握しておくことが重要となる。そこで広島県太田川支流の滝山川に建設されている温井ダムを対象に,河辺植物群落の空間構造を定量的で客観的に解析する手法を検討した。ダム上流と下流の3つの河川区域の1:2,500現存植生図を用いて,パッチサイズ,各植生型の面積比率,多様度指数,各植生型の河川流路に対する選択度指数を算出し比較した。パッチサイズや多様度指数は河川景観の全体的な均質化を指標するものとして,選択度指数は各群落の空間分布の定量的な指標として利用できることが明らかとなった。
キーワード:
河川上流域,河川景観,環境影響評価,空間分布,渓畔性群落