[pp.225-230]
矢沢 正士 (北海道大学)
要旨:
石狩泥炭地内の小湖沼を保全するための基磋として,湖沼面積や河川系統の異なる6湖沼を対象に,湖沼の周辺士地利用と水質環境について研究を行った。湖沼周辺では農業的士地利用が卓越し,その大半は水田であるが,1970年代以降の土地利用変化では,水田の一部が畑に転換する傾向を示している。湖沼水質の月変化では,有機汚濁の指標である化学的酸素要求量(COD)と浮遊物質量(SS)は,水田の灌漑期間である5月から8月までの変化は比較的小さいが,落水後の9月になると急激に増大する湖沼が存在した。湖沼の多くは水田灌漑の補助水源として利用されており,灌漑期間中は近傍河川から導水を行っているが,事例的に調査した河川のCODは湖沼よりも良好であった。泥炭地内の湖沼を保全するためには,湖沼周辺の農地は今後も水田としての利用を継続することが重要である。
キーワード:
石狩泥炭地,小湖沼,土地利用,水質環境,COD,SS