[pp.213-218]
石井 裕一,村上 和仁,瀧 和夫 (干葉工業大学)
要旨:
本研究では,ラムサール条約登録湿地でかつ,潟湖干潟である谷津干潟について,後背地の変遷による主要環境構成因子の変化について考察を行った。その結果,谷津干潟流域からの有機物の流入の減少,干潟内の塩分濃度の年々の上昇,また,底泥の砂質化が観察された。さらに,谷津干潟内での時計回りの水流の存在が,流速データからの解析により明らかとなった。これらのことから,谷津干潟は潟湖干潟の形状を留めつつ,徐々に前浜干潟へと近づきつつあること,また,時計回りの水流による急激な掃き出し流れが底泥の巻き上げを引き起こしていることが明らかとなった。
キーワード:
ラムサール条約,前浜干潟,潟湖干潟,砂質,塩分濃度,主要環境構成因子