[pp.155-158]
鈴木 志乃,藤崎健一郎,勝野 武彦 (日本大学)
要旨:
本研究は,日本人と植物の関わりの特質と時代的な変遷を,詩歌に詠われた植物の変遷から把握しようと試みたものである。大岡信監修「日本うたことば表現辞典」植物編(上・下)に収録されている古今の詩歌に現れた植物名の用例1万余を対象とし,植物の種類と表現内容等について整理し,年代による変化をみた。その結果,木本では梅と桜で20%,草本では菊と稲で13%を占めており,長期にわたって上位にあることや,植物の種類ごとの年代による増減などを数値的に把握することができた。また,梅の花色の用例が年代によって10世紀頃は紅,13世紀には白,時代が下ると再び紅が多く詠まれるように変化するなど,同一の植物でも詠われ方に変化のあるものがいくつか指摘できた。
キーワード:
詩歌,うたことば,梅,桜,菊,稲