[pp.73-78]
川上 洋司,李 偉国,野嶋 慎二 (福井大学)
要旨:
本研究は,アクセス条件等外部環境が変化しつつある福井県越前海岸の漁村集落を対象とし,住民への意識調査に基づいて,漁村集落における生活環境評価,定住・転出意向,期待する集落将来象およびそれらの相互開係等について分析・考察したものである。その結果,集落の「現状」の評価結果は全体的に厳しく,「現状」と「変容」両方とも最も厳しい評価をしているのは「若者が住み,働く環境」であり,生活利便面の項目と自然伝統面の項目では,「現状」と「変容」評価において相反する傾向がみられること等が明らかとなった。また,生活環境の評価において差異が最も顕著に見られるのは属性別では居住歴,項目については生活利便面に関するものであること,定住・転出意向の程度が生活環境評価や期待する将来像の違いに有意に関係していること,さらに自然伝統指向と生活利便性指向が共存している等,集落住民の意識・意向が多様であることが示された。
キーワード:
漁村集落,生活環境,意識調査・分析