[pp.141-146]
原科 幸彦,津田 義浩 (東京工業大学)
要旨:
現行の環境アセスメントの問題点の一つに,事業者の作成したアセス文書は信頼できないというものがある。このため,紛争状況においては住民自らの手による住民アセスを作成する例が見られる。しかし,この住民アセスは果たして有効なのか,無用な混乱のもとではないかという疑問もある。本研究は住民アセスの効果を実証的に明らかにするため,東京 恵比寿のビール工場跡地の再開発計画を対象に事例分析を行った。その結果,住民アセスにより得られた情報が,事業者や行政に無い,検討に値する情報であったことや,その情報によって裏付けられた住民意見は事業者や行政に対して説得力を持ち得たこと等,住民アセスの効果が明らかになった。
キーワード:
環境アセスメント,アセスメント文書,住民アセスメント,住民参加,恵比寿ガーデンプレイス計画