[pp.123-126]
松崎 浩憲,河原 能久 (東京大学)
要旨:
近年,生息環境,風景構成要素,休息・避難場所として河川空間の果たす役割の重要性が増してきている。このような社会背景を受けて,1990年に「多自然型川づくりの推進についての通達」か出されて以降,環境に配慮した河川整備が進められてきている。しかし,これらの河川整備の中には,画一的で,視覚デザインに重きをおいた景観設計の事例か多い。また,生態系や水理学への配慮はほとんどなされていないのが現状である。本研究では,景観工学で河川環境がいかに取り扱われているかをレビューした後,河川空間を防災,生息,景色,利用の場として包括的にとらえ,景観設計のための基準となる考え方をまとめた。
キーワード:
河川環境,景観,河川生態系,防災,多自然型川づくり