[pp.74-79]
亀山康子 (国立研究開発法人国立環境研究所社会環境システム研究センター)
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要旨:
一般的に,ある目的で導入された政策が,他の目的を目指した政策と矛盾を起こす(トレードオフ)状態を避けつつ,両目的を同時達成する(シナジー)政策を優先することが望ましい。本研究では,日本の気候変動政策と生態系保全策との間の関係性について,「地球温暖化対策計画」「気候変動の影響への適応計画」「生物多様性国家戦略2012-2020」の項目を用いて網羅的に調査した。その結果,緩和策と生態系保全策との間では再生可能エネルギー分野および水田関連,適応策と生態系保全策との間では自然災害・沿岸域の分野でトレードオフが生じる可能性を指摘した。他方,シナジーが示された分野もあり,今後,これらの関連性を意識した政策導入が求められる。
キーワード:
気候変動緩和策, 気候変動適応策, 生態系保全策, トレードオフ, シナジー