[pp.64-73]
伊藤 弘 (筑波大学芸術系)
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要旨:
本研究では,古来より観光地として知られ,世界遺産に登録された平泉において,来訪者の訪問場所およびそこでの景観と評価を,紀行文から明らかにすることを目的とする。その結果,平泉における来訪者の制度的な観光利用(規範的な訪問場所と視対象の組み合わせ)は,場所を認識しないか中尊寺を訪問場所として主に史跡を視対象とするものであった。これに来訪者の観光の志向性に応じた訪問場所や視対象が付加され,独自性の高い観光利用も行われていた。場所と共に多様な要素を多く認識している,独自性の高い観光利用は評価の記述件数が多く,視対象をその立地する場所および歴史的背景とともに認識し,深く鑑賞しているといえ,その継承が求められる。
キーワード:
史跡,景観,観光地,平泉,訪問場所